台湾の総統選を3月18日に控え、中台関係に緊張が高まっている。 中国政府は、2月21日、独立志向の強い候補者(野党民進党の陳水扁候補を指すと見られる)の当選を牽制するため、「台湾白書」を発表、「台湾が統一交渉を無制限に拒絶すれば、武力行使を辞さない」との強硬姿勢を明らかにした。これまで中国政府は台湾への武力行使の可能性につき、(1)外国からの侵略、(2)台湾の独立、との二つの場合と表明してきたことから考えると、この「台湾白書」は「現状維持」をも許さないという“新たな脅迫”と言って過言ではない。 さらに、3月5日、中国軍制服組のトップ、張万年・中央軍事委員会副主席は、全人代の軍代表分科会で、「『台湾独立』は戦争を意味し、分裂したら平和はない」と発言、台湾に対する攻勢のボルテージは上がるばかりだ。 中国特有の恫喝ともいえるが、疑問でならないのは、武力行使の可能性について言及すればするほど、中国の国際的な立場が弱まっていくことに気づいていないことだ。現にアメリカ議会は「台湾白書」に厳しく反発、中国に対する恒久的な最恵国待遇の付与への反対論が高まっている。上院では、2月1日に下院で可決した「台湾安保強化法案」を採決する動きも出始めた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。