日債銀を買収した孫正義の「大誤算」

執筆者:須田慎一郎2000年3月号

 注目されていた日債銀の譲渡先が、ソフトバンク、オリックス、東京海上の国内三社連合に決まった。しかし、今回の買収をめぐり「機関銀行化」への懸念が指摘される中で、ソフトバンクの旨みは急速になくなってきている。

 去る三月九日、都内の某ホテル――。

 この日、日本債券信用銀行一括譲渡についての「最優先交渉先」に決定している「ソフトバンク連合」が、第九回目の「ステアリング・コミッティー」を開いていた。

 言うまでもなく、「ソフトバンク連合」とは、ソフトバンク、オリックス、東京海上火災保険の三社からなるコンソーシアム(企業連合)のことを指す。また、「ステアリング・コミッティー」とは、ソフトバンク連合の最高意思決定機関、とでも言うべき存在だ。

 このステアリング・コミッティーを構成するメンバーは、孫正義ソフトバンク社長、宮内義彦オリックス社長、樋口公啓東京海上火災社長の三人だ。残念ながら、この日のステアリング・コミッティーで具体的に何が話し合われたか、その詳細は明らかではないが、宮内、樋口両社長が、孫社長に対して「誤解を招きかねない発言は差し控えた方が良い」とのニュアンスの発言をし、やんわりと注意をしたというのである。

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