韓国政府が、対北朝鮮カードとして新たなルートを模索し始めたことについて、関係者が成り行きに注目している。

 三月四日、バチカンを国賓として訪れていた金大中大統領は、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世に拝謁した際に、法王の北朝鮮訪問を正式に提案した。外交関係者によると、法王は「実現すれば奇跡だ」と前向きな考えを示唆、逆に金大中大統領に北朝鮮訪問の考えはないのか、などと聞き返していたという。

 法王は九八年四月、全世界のカトリック信者に呼びかけて、北朝鮮のための「国際断食の日」を開催。バチカンはこれまでに計一億七千万ドルを支援するなど、北朝鮮にとって最大の支援国の一つでもある。韓国はこれまで、直接対話と日米中露を窓口にした対北外交を選択してきたが、事態の進展が見られない中、バチカン・ルートを探っていると見られている。

 また金大中大統領は、今年一月に北朝鮮と国交を樹立したイタリアも訪問。北朝鮮開放への助力を要請し、欧州企業への北朝鮮情報の独占的提供も提案したという。外交関係者の間では「今後バチカン、イタリアルートが切り札になる可能性もある」との観測が高まっている。

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