ドイツ銀行、ドレスナー銀行の合併で陰の主役を演じた欧州最大の保険会社、ドイツのアリアンツが、黒衣に徹するこれまでの戦略を切り替え、総合金融で積極策に乗り出した。この一環として国際戦略を強化、日本市場への本格進出を狙っている。

 アリアンツはドレスナー銀株の二二%、ドイツ銀株の五%を保有し、今回のメガバンク誕生を後押し。そればかりか、合併に伴って切り離される両行の国内リテール部門を統合した「バンク24」の株式も三二%取得して、事実上経営権を握る。つまり、顧客一千万人、支店数千七百の大型リテール銀行の主となるわけで、保険、融資、決済など、ネットバンキングと結び付けた総合金融サービスに打って出る条件を得た。

 国内大手銀、有力企業に対する持ち株を背景に、隠然たる影響力を保持してきたアリアンツは、これまで派手な動きは一切控え、「ドイツ株式会社の資産管理人」の立場に徹してきた。しかし同国の税制改革で、企業の持ち株売却益が非課税になる見込みとなり、日本円で数兆円規模になる含み益を使い積極買収に出る道が開けたのだ。日本では保険分野だけでなく、投信など資産運用分野での本格参入も予想されている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。