海上自衛隊がインド海軍と捜索救難共同訓練を行なう検討を始めた。狙いは東シナ海からインド洋で頻発する海賊対策だが、インド洋での訓練が可能となれば専守防衛の地理的範囲が格段に広がることになる。

 目印共同訓練は、一月に来日したインドのフェルナンデス国防相と瓦防衛庁長官の会談で浮上した。既に海自はロシア、韓国との間で共同訓練を実施しているが、ともに日本周辺国。周辺国とは言えないインドとの訓練が防衛政策上、可能かどうかは微妙なところだ。一九八〇年代、日本は米国からシーレーン一千マイルの防衛を求められたが、専守防衛の範囲を踏み越えるなどの理由で実施を見合わせてきた。インド洋は一千マイルをはるかに超える。

 とはいえ、昨秋、インド洋海域で日本の貨物船が海賊に乗っ取られ、インド海軍が海賊を逮捕した経緯もあり、日本政府も海賊対策を迫られているのは事実。湾岸戦争では自衛隊法を拡大解釈し、ペルシャ湾での掃海作業を実施した前例もあり、インド洋への派遣は不可能でもなさそう。防衛庁幹部は「自衛隊に海賊を取り締まる権限はないし、アジア諸国の目も厳しい」というが、内々に検討が進んでいることは間違いない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。