東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟を果たしたミャンマー軍事政権が、政権基盤の強化を図って軍備拡充に乗り出している。

 米国や欧州連合(EU)から、人権侵害を理由とする制限を受けているため、イスラエルや中国、パキスタンとの関係を巧妙に利用しているが、一九四八年の独立直後から軍事協力関係があったイスラエルとの水面下での提携が注目を集めている。

 イスラエルはミャンマーに対する軍事協力を否定しているものの、ミャンマーが保有する中国製戦闘機F7などの近代化や、自国の一線級の部隊が使わなくなった銃器を輸出、特殊部隊の訓練に協力している。

 イスラエルがミャンマー進出に熱を入れる背景には、ミャンマーをアジアでの伝統的拠点であるシンガポールに次ぐASEANへの足掛かりにしたいという意図がある。ミャンマーと密接な関係がある中国やパキスタン、地域大国のインドの情勢をうかがう窓口としても利用したい考えだ。

 化学・生物兵器を開発しているとみられる軍事政権と洗練された軍事技術をもつイスラエルの提携が、地域の新たな不安定要因となる懸念もある。

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