デリバティブ、証券化、M&A。次々と日本に新たな金融ビジネスを持ち込んでくる外資系金融企業が、いま最も熱心に取り組んでいる事業。それは「プライベート・エクイティ」だ。

 日本語に直せば「未公開株投資」で、株式を公開・上場していない企業に出資し、その株式の新規公開(IPO)によって投資額の二桁、三桁という倍率のリターンを得る業務を指す。たとえば、米リップルウッドによる日本長期信用銀行買収も、上場を取り消された長銀を新生銀行として再生させ、その株式を再上場することで得られる巨額の利益を狙ったプライベート・エクイティ事業だ。

 だが、このビジネスのターゲットは、既存の大手企業の破綻や分割で生まれる「非上場会社」に限らない。いわゆるベンチャー企業も対象であり、その意味でプライベート・エクイティはベンチャー・キャピタルとも重なる。ナスダック・ジャパンや東証マザーズの登場で、日本企業の株式公開のハードルは従来よりも格段に低くなる。そこを見越したゴールドマン・サックスやGEキャピタル、ドイツ銀行などの外資系金融機関が、昨年後半から積極的に取り組み始めているのだ。

 とはいえ、高いリターンを見込める投資だけに、当然、大きなリスクもともなう。そのリスクを低減し、事業の収益性を高める鍵を握るのは、投資先企業の見極め。そこで外資系金融企業が血眼になって求めているのは、市場で高く評価される事業、新たなビジネスチャンスをモノにできる経営者を早い段階で見抜く“目利き”だ。

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