ダイエーの次期社長に、三月一日付で副社長となった川一男氏(五八)が有力視され始めている。川氏は九六年にダイエー専務からグループ企業の大手食品スーパー、マルエツ社長に転出し、低迷していた同社の業績を回復させた人物。「片道切符だった」(ダイエー幹部)はずが、中内功会長(七七)が半ば強引に引きずり戻したようだ。川氏がここで復活のシナリオを描ければ、外様で中内会長としっくりいっていない鳥羽董社長(六九)から社長の座を継ぐことも現実味を帯びてくる。

 ダイエー草創期を知る優秀な役員や社員の多くが中内会長と長男の中内潤氏(四四)に反発して去っていく中で、川氏は「おやじさん(功氏)と息子(潤氏)から信頼されている数少ない腹心」(元役員)。川氏をワンポイントの社長に据えて、昨年春に経営責任をとる形で副社長から非常勤取締役に降格した潤氏にいずれバトンタッチする「密約がおやじと川氏でかわされた」と語るダイエー幹部もいる。

 だが、そもそもダイエーの営業力を今のように弱体化させたのは川氏との指摘も多い。同氏が販売と商品開発の責任者だった九四年から九六年は、ちょうどダイエーのつまずき始めた時期と一致する。「福岡ダイエーホークスが優勝するほうが、川氏の経営手腕よりもまだ期待できる」(メーンバンク首脳)。

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