内閣改造で新スタートを切ったばかりのフランスのジョスパン内閣を揺さぶる事態が発生した。英国に本拠を置く国際金融グループHSBCがこのほどフランス大手銀行CCF(フランス商業銀行)に対するTOB(株式公開買い付け)を発表したからだ。成功すればフランスで初の外資による大手銀行買収となる。 フランス政府はかねてから国内主要企業への外資の買収攻勢を阻んできた。ところがHSBCはTOBを発表した時にはすでにCCF株の半数以上を手に入れている鮮やかさで、フランス政府の反撃を封じてしまった。HSBCにとって初のフランス本格進出の足がかりであるこの買収が、欧州委員会の独禁政策にひっかかることもなさそうなので、当局が介入すればフランス批判の火に油を注ぐのは必至だ。 昨年、フランスが英国産牛肉の輸入を拒否した問題や、独占を続けるフランス電力公社による英電力買収などで、英仏関係は悪化している。折しもフランスではソテール蔵相が内政改革に端を発した混乱の責任で更迭されたばかり。ファビウス新蔵相は取り扱いを誤れば深刻な外交対立に発展しかねない難題を就任早々抱え込んだ形だ。

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