外資の海に沈んだ三菱自動車

執筆者:加納修2000年4月号

相手はクライスラー色を一掃した“実績”のあるダイムラー 日産自動車と仏ルノーが資本提携を発表してから丸一年。この間、日米欧の自動車メーカーが、それぞれに勝ち残りをかけた世界的な再編劇の大波は、最後に三菱自動車工業を一息に呑み込んだ。 バブル崩壊にともなう国内景気の低迷で足元が揺らいだ三菱自動車は結局、単独の生き残り策を捨ててダイムラークライスラーの資本受け入れによって生き残りを目指すこととなった。かつてRVでヒット街道を走った三菱自動車だが、「スリーダイヤ」に象徴される巨大グループ「三菱」が求心力を失う中で寄るべもなく、多くの日本企業同様、外資の海に沈み込んだのだ。「外資との提携? 双方にメリットがあればウチは何でもあり」。昨年夏都内で開かれた暑気払いパーティー会場にいた三菱自動車の河添克彦社長は、外資との提携に何のためらいもないことを明言していた。すでにグループで約一兆七千億円にも達する有利子負債を抱え、「経営環境はどん底」(三菱自動車幹部)。自主的な再建計画も遅れ気味で、外資との提携以外には「自主再建の道は閉ざされていた」(同幹部)といわれている。 最近でこそ、独自開発した環境対応エンジン「GDI(直接噴射式ガソリン)エンジン」を、仏プジョーに技術供与することが決まり、さらに米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下の独オペルへ納入する交渉も進んでいた。伊フィアットの傘下、ピニンファリナとは、小型車共同開発の道が開けていた。また、同社が一九九八年度から開始した経営改善活動「RM二〇〇一」では、今年度までに四千二百億円以上のコスト削減目標に対し、すでに二年間で三千四十億円以上の効果を上げるなど、全社態勢で徹底してきた経営改善も実を結び始めていた。

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