光通信、ソフトバンク、PCCWのマネーゲームは崖っ縁

[香港発]香港を舞台に日本やアジアの新興ネット企業が競演してきたマネーゲームが崖っ縁に立たされている。世界的なネット株の調整が、もともと実体に乏しく水膨れしていたアジアのネット企業株を直撃しているからだ。日本と密接に絡み合いながら醸成されてきたアジアのネット株バブルは、逆スパイラル入りとともに失速のリスクにさらされている。

「一株たりとも売っていない。非常に魅力のある株だと思っている」

 光通信の重田康光社長は三月下旬に香港入りした際、地元の記者団にこう言明した。「株」とは香港の新興インターネット企業、パシフィック・センチュリー・サイバーワークス(PCCW)株のことだ。

 重田氏とPCCW会長のリチャード・リー氏は二月半ばに株式の持ち合いで合意した。ところが、皮肉にもお互いに手を携えるようにして両社の株が急落していったのだ。市場では、株式交換が連鎖的な株安に拍車をかけているとの見方が広がり、最悪の場合、関係解消すらあり得るのではないかとの懸念が浮上した。

連鎖した含み損の拡大

 株式交換の“成果”は、見るも無惨としか形容のしようがない。リー氏がPCCW株(発行済み株式の三・五%)の見返りに受け取った光通信株(同一・六五%)は九割以上も下落し、七十億香港ドルにのぼる含み損を抱えている。一方のPCCW株は当時のほぼ半値で、重田氏が言う通りに保有し続けていれば含み損は三十億香港ドル(約四百二十億円)強に達する。

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