韓国警護当局は、南北首脳会談での金大中大統領に対する直接的、組織的な攻撃を最も警戒している。

 金大統領の平壌訪問には、機関銃以外の自動小銃、無線機や金属探知機を装備した約五十名の精鋭警護チームが同行する計画で、北朝鮮当局も火器などの装備持ち込みにほぼ同意したようだが、会談の会場となる万寿台議事堂付近への武器搬入などについてはまだ認めていない。

 韓国の警護担当関係者は、「金大統領への攻撃は、金正日総書記の意志とは関係がなく、起きる可能性があり、万全の準備をしなければならない」と語る。そして「武力が大統領に向けられた場合、中国大使館を第一の避難場所として考えている。中国も韓国の立場を十分に理解している」と打ち明ける。

 平壌の中国大使館は議事堂から五キロの距離にある。実際、韓国政府は九四年に金泳三前大統領と故金日成主席との平壌会談が取り沙汰された際、避難所として中国大使館を想定し、スパイ衛星から撮った平壌市の写真を利用して仮想訓練を行なった。従って、首脳会談に先立つ五月中旬、平壌を事前調査する韓国関係者が最も心を砕くのは、中国大使館に至るまでの地形分析だという。

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