六月に平壌で開催される予定の南北首脳会談で、韓国から北朝鮮に対し、火力発電所の建設が提案される見通しだ。

 すでに韓国は肥料二十万トンの無償支援を表明するなど、会談の雰囲気づくりに努めているが、火力発電所の建設が決まれば、エネルギー事情の逼迫が続く北朝鮮にとっては大きな「プレゼント」となる。

 今回の首脳会談は、韓国からの呼びかけで実現した経緯がある。四月に行われた韓国総選挙の直前に開催が決まったことから、少数与党を率いる金大中大統領の選挙対策ではないか、との見方まで出た。一方で北朝鮮側としても、日米との交渉が進展しないなかで、援助を求めるなら韓国、それも太陽政策を進める金大中政権の今、との思惑がある。

 火力発電所の建設場所は、平壌の南に位置し黄海に面した南浦が有力。「実は韓国側は当初、送電線を使って韓国から電力を送ることを提案したが、金政権が交代すればブレーカーを落とされかねないということで北が拒否。北は火力発電所の設備、それも米国製を要求したが、今度は韓国が飲めなかった。それで結局、韓国製の発電所建設で落ち着いた」(韓国筋)といわれる。

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