森新首相は四月二十八日から九日間、沖縄サミットに参加する米欧露七カ国を歴訪した。領土問題や平和条約交渉を抱えたロシアは別にして、米欧六カ国はいずれも滞在時間が二十四時間に満たない駆け足訪問だったが、その中でわざわざ晩餐会でもてなしたのが親日家のシラク仏大統領である。

 五月二日夜、エリゼ宮東翼の「ポルトレ(肖像)の間」。裏庭に面したさして大きくない広間は、かつてはナポレオンの后ジョゼフィーヌの居室で、儀式ばらない親密な会食を催すときに使われる。この夜の会食者は十五人前後。しかもサミットの議題などについて意見交換するワーキングディナーで、実務重視の饗宴だった。メニューは次の通りである。

 ホワイトアスパラガス、ムスリーヌ・ソースで

 子羊の七時間料理、ポテト添え

 チーズ

 デザート

 サントネー97年(白)

 シャトー・カノン・ラ・ガフリエール(赤)

 テタンジェー コント・ド・シャンパーニュ90年

 前菜は、いま正に旬のホワイトアスパラガス。変わった名前の主菜は、シラク大統領の出身地である仏中央部のコレーズ県の子羊を食材に、文字通り七時間かけた料理である。

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