独自技術で大手をしのぐIT時代の工具専業メーカー

 ユニオンツールはIT時代の製造業に不可欠な工具の専業メーカーだ。製造するのはプリント配線基板用超硬ドリル(PCBドリル)。主に携帯電話やデジタル家電の製造工程で使われ、同社は世界シェアの三八%を握る。

 近年のデジタル化によって情報機器の小型軽量化と情報量の大容量化が進み、プリント基板も一気に多層化、高集積化した。と同時に、ドリルの小径化が加速。また、デジタル機器の生産ラインは短期間で立ち上げる必要があり、ユーザーからの急な増産要請や仕様変更も日常茶飯事だ。こうしたユーザー側の要請に素早く、身軽に応じる体制を作り上げたことが専業メーカーである同社の強みとなっている。

 三菱マテリアル、東芝タンガロイなど、超硬工具全般を手掛ける大手メーカーを尻目に、同社が市場を占有できた理由は、製造設備を全て自社開発している、独自の「焼きばめ」技術を持っている、という二つの生産技術による。設備コストは外部購入の五分の一程度で済み、他社がドリル一本に高価でダイヤモンドに次ぐ硬度のタングステンカーバイトを全体に使用するのに対し、同社は独自の「焼きばめ」を施すため刃先に使うだけ。製造コストで大幅な圧縮を実現した。

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