九八年五月に地下核実験を強行したインドとパキスタンが、核実験を再開するのでは、との懸念が強まっている。

 英ロイター通信は五月下旬、「パキスタンが核実験再開準備をしている兆候がある」との米政府当局者の話を伝えた。パキスタン政府は否定しているが、印パ関係筋によれば、パキスタンが同国南西部チャガイ丘陵の地下核実験場で、実験用核爆弾を埋め込むための横穴を掘削中であることが確認されている。

 対するインドでも、西部ラジャスタン州のポカラン核実験場に古井戸を利用した実験用の穴が掘削済みで、「いつでも実験を再開できる状況にある」(同筋)。一連の動きは、印パ間に新たな緊張を誘発しつつある。

 両国が実験再開に動き始めた動機は不明。ただ、パキスタンに弾道ミサイル技術を供与している北朝鮮が、パキスタンに核実験を再開させ、実験データの提供を求めている可能性があるとみられる。その場合、パキスタンは同国初の水爆や中性子爆弾の実験に踏み切る公算が大きい。一方、パキスタンの核・ミサイル技術は実はインドを上回っている、との専門家の見方も強く、こうした事情がインドを再実験に向かわせている、と指摘する声もある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。