九八年十二月に事実上更迭されたレバノンのハリリ前首相が最近、表舞台での活動を再開。レバノンを実効支配するシリアが、八月に実施されるレバノン総選挙後にハリリ氏を再び首相に据えるのではないかとささやかれ始めた。

 サウジアラビアで起こした建設業で富をなしたハリリ氏は、レバノン内戦終結後の九二年に首相に就任。サウジマネー導入など強力な湾岸産油国とのコネを生かして投資を呼び、荒廃したベイルートの復興・再開発に力を入れた。その事業が進む最中の突然の首相交代劇には、力をつけ過ぎたハリリ氏を警戒したシリアの意向が働いたとみられている。

 だが、後任のホス首相は経済学者出身ながら復興事業には何ら実績を上げられず、レバノン経済は負債ばかりが膨れ上がった。政治、軍事的にはレバノンを支配しながらも、経済はレバノンに大きく依存するシリアも危機感を抱き、剛腕・ハリリ氏の再登板を画策しているともいう。

 最近のハリリ氏は、先ごろ死去したアサド・シリア大統領の後継者である二男のバッシャール大佐と会談し、イランやフランスも訪問。それがまるで首相の動静のように派手にマスコミで取り上げられている。

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