あらゆる革命のイデオロギーも時とともに変質し、その意味が問われるようになる。イラン・イスラム革命もまた、例外ではない。 このことを実感させたのは、一九九七年の大統領選挙だった。大方の予想に反し、改革・開放を掲げたハタミ師がインテリや若者、女性層の広範な支持を得て大勝利した。さらに今年二月と五月の二度にわたり行なわれた国会選挙の結果は、改革を求める国民の期待の大きさを改めて実証した。新国会の勢力分布はまだ確定していないが、改革派は全議席(二百九十)の三分の二以上を占め、保守派に圧勝した。 イランでは革命以来、シーア派の教義に基づいたホメイニ師の政治理論「法学者による統治」が実行されてきた。政治を含むすべての面をイスラム法学者が指導するとの考えで、ホメイニ師は革命の成功後、自ら三権の上位に位置する最高指導者に就任した。現在の最高指導者ハメネイ師と大統領ハタミ師の体制もこの点は変わらない。 それでも革命から二十年以上もたつと、イスラム的な価値や教えを現実の政治にどう適用するかについて、当然異なった見解や主張が出てくる。加えてその間に、人権やジェンダー(性差)、情報化などをめぐる議論が世界的に拡大し、社会は多様化した。

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