「今一度問いたい。『何をどうすべきか?』 課題への答えはきっとある。難題の解決策も必ず見つかる。だが日本人よ、それを探し出して実行に移すのは、あなたたちなのだ」(ヴィットリオ・ヴォルピ『日本がいま、やるべきこと』新潮社刊 一〇〇〇円)

 イタリア人銀行家である著者は、二十八年にわたって日本で働き、この国を見つめてきた。本書は、司馬遼太郎の著作をこよなく愛する著者が、先行きの見えない景気、相次ぐ少年犯罪等により、社会全体が重い閉塞感に覆われている現在の日本に向けて書き下ろした、再生への提言である。

 外国人によって書かれた「日本論」の多くは、悲観論にせよ楽観論にせよ、西欧社会と同じ物差しで日本を語るにとどまり、日本の特殊性を出発点ではなく結論に据えていると著者は批判する。著者自身がこう批判する「日本論」と、本書が大きく異なるのは、経済のみならず社会、文化も併せて考察し、日本人と日本社会の特質を踏まえた上で、この変化の早いグローバライゼーションの時代に、日本人がどのような道筋を進むべきか、現実的かつ具体的な処方箋を用意している点である。

 日本は過去二回、明治維新と第二次世界大戦の敗戦という大きな危機を契機に変革を遂げてきたと著者はいう。そして今、一刻も早く「外圧なき改革」を行なうために、維新を成し遂げた明治の先人たちに学ぶべきだと主張する。

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