首相官邸主導の経済運営の目玉として、来年一月の省庁再編に伴って内閣府に新設される「経済財政諮問会議」が骨抜きにされかねない雲行きになってきた。森喜朗首相が「日本新生プラン」のなかで、「財政首脳会議」を提唱したためである。

 諮問会議は首相や経済閣僚に加えて、民間人も参加する。事務局は、いまのところ省庁再編で消滅する経済企画庁が中心とみられている。これに対して首脳会議は、主要閣僚と与党の幹事長、政策責任者で構成される見通し。実は首脳会議創設は、予算編成の主導権を維持したい大蔵省の進言といわれ、武藤敏郎主計局長(次期事務次官、昭和四十一年入省)を中心に与党に強く働きかけたようだ。

 その一方、諮問会議に加わる民間人の人事も取り沙汰されてきた。メンバーのうち四人以上が民間から起用されるが、現在最も意欲を見せているのが堺屋太一経企庁長官。総選挙後は民間人に戻るが、諮問会議メンバーとして引き続き脚光を浴びようと居残りを図る。

 残る三ポストは、一つが女性、二つが財界人になる見込みで、現時点では牛尾治朗前経済同友会代表幹事や経済戦略会議議長を務める樋口廣太郎アサヒビール名誉会長らの名前が挙がる。だが、「常連過ぎて斬新さに欠ける」との見方もあり、官邸としては出井伸之ソニーCEOあたりを期待している模様。

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