日債銀譲渡先決定の舞台裏

執筆者:須田慎一郎2000年6月号

ソフトバンク連合への譲渡が決まったが、孫社長の思惑は狂うばかり

「従来の銀行はストック重視の担保主義。(新しい日本債券信用銀行については)外銀のようなフロー重視でやっていきたい。中堅中小、新興企業だけでなく、大企業でも新しいプロジェクトファイナンス、ノンリコースローン(一般の企業融資とは違い債務者に担保以上の返済責任が遡及しない融資の形態、プロジェクトファイナンス等を含む)について考えたい。ただし、成長企業向け融資がいきなり三〇%から四〇%になることはない。最初は五%程度だろう。そのうち、一〇%から一五%にもっていく。まずは、既存の顧客の資金需要に応えていきたい」

 孫正義ソフトバンク社長は、居並ぶ記者団を前に、こう胸を張って答えてみせた。

 六月六日、十七時十分――。

 東京・永田町にあるキャピトル東急ホテルにおいて、ソフトバンク、東京海上火災保険、オリックスの三社が共同記者会見を開き、日債銀の譲渡先にソフトバンク連合が正式に決定したことに関して記者発表を行なったのだ。

 冒頭に引用したコメントは、この記者会見において飛び出したものである。孫社長の発言内容をそのまま紹介しているため、多少わかりにくい部分もあるだろうが、その点についてはご容赦いただきたい。

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