今こそ新聞業界は経営革新を

執筆者:上山信一/杉山直人2000年6月号

日本の新聞界の収益状況は急速に悪化している。改革は不可欠。学ぶべきは、アメリカの新聞界が断行した大胆な経営改革だ。 日本の構造改革には、金融と新聞の二つの産業の経営改革が不可欠である――これがわれわれの持論である。金融、特に銀行の問題は言うまでもない。だが、金融と並んで、なぜ新聞産業の改革なのか? 健全な社会は、健全な批判精神、そして良質なメディアのもとに成り立つ。複数のメディアが安定的な経営基盤のもとで競争する環境がなくては、ダイナミックな世論形成や政策の選択肢についてのオープンな議論も成り立たない。新聞社の経営問題は、「社会の公器」のあり方の問題なのである。たしかに、もはや新聞よりもテレビの時代である。だが、こと報道分野については違う。世論形成における新聞の力は、まだまだ大きい。 ところが、日本の新聞産業は、すでに経営不振に陥っている。大手六紙の最近三年間の売上高は、日経以外は、いずれも減りつつある。営業利益は、年平均二〇%のペースで減り続けている。特に、九八年になって、広告収入が大きく落ちこみ始めた。販売収入の伸びも鈍化している。九八年には、北海タイムスと石巻新聞が廃刊に追い込まれた。

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