尖閣列島周辺に出没する中国の調査船が石油・天然ガス掘削へ向けた最終調査を進めている。問題は、日中中間線より日本寄りであること。海上自衛隊関係者は「大陸棚を実効支配する既成事実づくりではないか」と懸念を表明している。 中国は中間線より自国海域寄りの海域に既に「平湖」「宝雲亭」「春暁」の三カ所の石油ガス田を持っている。中国寄りの洋上なら文句はいえないが、昨年六月、海自のP-3C対潜哨戒機が、日本側海域の奄美大島西約三百九十キロの洋上で活動中の中国の海底調査船「浜海511」を発見した。 昨年から今年にかけて、中国の海洋調査船は頻繁に日本側に侵入しているが、「浜海511」は極めて特殊な艦船。船底からエアガンを発射し、海底の振動で鉱床の有無を調査するため、長さ六キロ、幅四キロに及ぶワイヤーで受信機を曳航する。海洋調査の専門家は「エアガンの次はオイルリグなどによる試掘に移るはず。試掘が済めば本格的な石油ガス田が建設される」という。 海自関係者は「日本側に油井を組むようなことはないだろうが、大陸棚の鉱床が一体なら日本側の石油ガスも吸い取られる。納得がいかないものがあります」と話している。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。