フィリピン国軍当局が六月下旬、マレーシアがフィリピン・ミンダナオ島で分離独立闘争を続けるモロ・イスラム解放戦線(MILF)の武器経由地になっていると非難し、マレーシアとの間に険悪な空気が流れ始めた。フィリピン国軍は、五月にマレーシア・ジョホール州でMILFと北朝鮮当局が秘密会談を持ち、北朝鮮からMlLFへの武器売却に合意、マレーシア経由で武器を供給する手はずになったと主張する。 マレーシアのナジブ国防相はこれを強く否定した。しかし、事情通によれば、ミンダナオ島と国境を接するマレーシア・サバ州では、密輸船が運航され、当局の手のおよばない海域まで武器を運び、いったん海に沈めたうえで、フィリピン側の買い手が武器を引き揚げるといった取引が、麻薬取引と並んで伝統的に行なわれてきたという。 かねてからマレーシアは、近隣諸国の分離独立運動組織に対する武器経由地、反政府運動の拠点となっていると批判されてきた。インドネシアも分離独立運動が激しさを増すアチェを抱えており、マレーシア経由で自由アチェ運動(GAM)に武器が流れ込んでいるのではないかと神経を尖らせている。

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