ローマ法王年内に引退の可能性

執筆者:2000年7月号

 八十歳という高齢に加え、持病のパーキンソン病が悪化しているローマ法王ヨハネ・パウロ二世が早ければ年内にも退位するのではないかとの観測が強まっている。 法王はイエス・キリスト生誕二千年の「大聖年」に当たる今年、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ自治区などに足を運び、歴史的な聖地訪問を終えたが、それ以後、めっきり体力が衰えている。バチカン当局は「法王の気力は充実している」と強調しているが、法王側近筋によると、「ベッドから起き上がるのがやっとという状態が日増しに増えている」とされる。 法王は以前、「自ら退位するつもりはない」と語っていたが、さすがに最近は自分の体力的限界を感じているようで、側近らに「私の心は『最後の晩餐』に傾きつつある」と漏らすなど、弱気の言動もしばしば見られるという。 六月にバチカンを訪れたプーチン露大統領から同国訪問を招請されたもようで、側近筋によれば、法王は年内にもロシアを訪れ、ロシア正教会の総主教、アレクシー二世と会談し、カトリックとロシア正教との歴史的な和解を実現した後、退位することを真剣に考え始めたようだという。

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