ミロシェビッチ大統領の独裁色が一段と強まっているユーゴスラビアでは大統領派のセルビア秘密警察と、野党勢力を陰で支援する米中央情報局(CIA)、さらにアルバニア系武装組織の三つ巴のテロ合戦が繰り広げられている。 ユーゴ連邦からの離脱を志向するモンテネグロ共和国の治安当局が先ごろ入手した同共和国駐在の米外交官の盗聴会話テープから、今年二月のブラトビッチ・ユーゴ国防相射殺事件など大統領側近三人の暗殺についてCIAの直接関与が裏付けられた。 一方、ベオグラードの独立系マスメディアによれば、六月に起きたユーゴ最大野党・セルビア再生運動のドラシュコビッチ党首暗殺未遂事件は「複数の目撃者によって、大統領の親衛隊といわれるセルビア秘密警察の犯行」とほぼ確認された。 また、今年一月のセルビア民兵組織首領の暗殺事件は、昨年解散したコソボ解放軍の別働隊、アルバニア系新武装組織の犯行説が有力だ。 この武装組織の過激派はユーゴのマフィアともつながりがあるうえ、セルビア秘密警察はもとより、CIAとも敵対しており、吹き荒れるテロ抗争を一層複雑にしている。

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