中国の広東省南部に位置する「珠江デルタ」が、世界の電機産業の一大集積地として急成長を遂げた。日本企業も堰を切ったように流れ込む。基幹産業の空洞化に直面した日本は早急な対応を迫られている。[香港発]また、日本企業が一社、珠江デルタにやってきた。六月三十日、中国広東省・東莞市・樟木頭鎮。猛暑の下、八王子市の電子機器メーカー、京西電機が新工場の落成式を開いた。武内重臣社長は上気した顔で、「我が社の持てる技術を中国人社員に移転し、地元の発展に寄与したい」とあいさつした。 外資の投資ブームが再燃した広東省。中でも東莞(人口約四百五十万人)はホットスポットだ。「東莞では毎月、一、二社の日本企業が工場を立ち上げている」(東莞市駐日連絡事務所の張潔・代表)。同市の張順光・副市長も語る。「今年一月から五月末までの五カ月間で、新たに四百九十七社の外資が投資してくれた。特に日本企業が急増中」。張順光・副市長は今、日本語を勉強中だ。 経済特区の深シンと、広東省の州都、広州を結ぶ広深高速道路を深シンから東莞に向かう。東莞に入るころから道路の両側に工場群が現れる。時速八十キロメートルで走っても二十分間は工場群が続く。時に空き地もある。だが、そこも建設資材が置かれ基礎工事が始まっていたりする。

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