“ネットの勝ち組”楽天に死角はないか

執筆者:出井康博2000年7月号

他のネット株の低迷を横目に、大手名門企業にも匹敵する株式の時価総額を維持する「楽天」――。第一関門をトップクラスで突破した同社だが、既存大手企業の追い上げも厳しくなるなど、難問も見え始めた。 ネット株バブルの崩壊が叫ばれるなかで、インターネット上の仮想商店街「楽天市場」を運営する楽天の株が人気を呼んでいる。四月十九日に店頭株式市場に公開以降、一時は公募価格の三三〇〇万円から二倍以上の七〇〇〇万円まで急上昇。五月の株式分割(一株を八株)を経た後も、株価は堅調に推移している(七月五日時点で、五〇三万円)。 投資家が好感する第一の要因は、ネット関連企業には数少ない黒字決算である。昨年の経常利益は前年から七倍に増えて約二億三千万円、売上高も四倍増の約六億円に達した。「楽天市場」への出店企業数が、昨年三月末の四百九十店から三千五百五十九店(七月五日現在)へと急増した結果である。また、「楽天市場」のページビュー数は一日で約三百五十万に上り、滞在時間なども加味した総アクセス調査(ジャパン・アクセス・レーティング調べ)では「ヤフー」、「ニフティ」に次ぎ第三位と、ネットの世界で「楽天」ブランドは完全に定着した感がある。

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