建設省官僚の逮捕はあるか

執筆者:2000年7月号

 受託収賄による中尾栄一元建設相の逮捕にまで至った汚職事件では、建設省OB、キャリア官僚の逮捕もありうる展開になってきた。建設省には飲食供与など過剰接待を受けたり、天下りの斡旋などに関係した職員は技官系を中心に約二十人ほどいるとされており、大物では次官経験者と技官系審議官の二人に注目が集まっている。加えて課長補佐級のキャリア官僚二人とノンキャリア三人の計七人の名前が挙がっている。

 事件の発端は、許永中被告が贈賄側企業の若築建設に新井組(神戸市)との合併話を持ちかけ、合併を有利に進めるために新井組の株式買い取りを斡旋。若築建設は石油元売り業・石橋産業(東京・目黒区)の上場傘下企業で、石橋産業グループから買収資金約二百億円を騙し取った許被告は、仲介役として買い取った新井組株約百八十億円を市場で換金したとされる。

 これに先立ち、許被告は九六年二月、東京・向島の料亭で政界工作資金として十億円のキャッシュを石橋浩会長と、傘下企業の不動産業「エイチ・アール・ロイヤル」(未上場)の社長=石橋会長の義兄=の二人に見せて信用させ、同じ料亭で同年五月、中尾容疑者と二人を引き合わせた。この時、建設官僚が十数人同席し一人五十万円の飲食供与を受けた疑いがある。
 許被告は「政治家に接触するときは上納金として一人三千万円が相場」と語っているが、省庁再編に伴う内閣府の官房副長官職を狙っているとも言われる元次官経験者にも、「許マネー」が流れていた可能性がある。

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