一九九一年の湾岸戦争で大敗しながら、今も政権の座に居座るイラクの独裁者サダム・フセイン大統領。だが最近、同大統領はガンに冒されているのではないか、という情報が流れている。 七月二十七日付英紙「タイムズ」は、ヨルダンにいるイラク人ビジネスマンが「サダムの調子が良くないのを知っている。ガンではないかと思う」と話し、その他複数のイラク人からも同様の情報を得たと伝えた。 また、八月二日付の汎アラブ紙「アッシャルクアルアウサト」によれば、亡命中のワフィク・サマライ元イラク軍情報部司令官は、フセイン大統領がこの半年間、イラク、フランス、キューバ人医師の治療を受けており、リンパ腺系統のガンの可能性があると語った。大統領は七月のバース党革命記念日に、通常よりかなり短時間の十三分しか演説せず、疲労がたまり、顔色が黄ばんでいる様子がうかがえたという。 外交関係者の間では「疲れているのは事実。ただ病気のためか、六十三歳という年齢のためかは分からない」と慎重な見方が多いが、フセイン大統領はシリアの故アサド大統領のように後継者を明確にしていないため、万一の場合にはイラク情勢が激変しかねないとの観測もある。

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