会計基準の次は、「企業統治のスタイル」まで統一化する動きが「会社は誰のものか」という古くて新しい問題に、いよいよ日本も答えを示さねばならない時がやってきた。 今年七月、国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)という国際団体の年次総会がニューヨークで開かれ、来年の総会を東京で開くことを決めた。すでに東京証券取引所が中心となって運営委員会を設置、受け入れ準備を始めている。一見、各国持ち回りで親睦を深める国際的な「お祭り」にみえなくもないが、実は日本を着実に変革へと追いつめる国際的な圧力の第一歩とみた方がよさそうだ。 ICGNの成り立ちをみれば、その構図がみえてくる。一九九五年にICGN設立の音頭をとったのは、米カリフォルニア州公務員退職年金基金(CalPERS=カルパース)とTIAA-CREF(米教職員保険年金連合会・大学退職株式基金)。カルパースと言えば、投資先の企業に積極的に注文を付ける「ものを言う機関投資家」として、九〇年代後半には日本企業に対して、強硬に改革を迫る姿勢をみせた。日本に事務所を開き、株主総会で会社側提案に反対するという計画が進んでいた時期もある。 そんな資本市場の強硬派が「こわもて路線」を変更、「民主的な運動」として手掛けてきたのがICGNなのだ。今では世界中の年金基金や保険会社など主要機関投資家が集まる国際組織に成長している。

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