新生銀行は孤立化の窮地に

執筆者:岩井良尚2000年8月号

米国流の徹底した合理主義で“信頼”はしぼむばかり 今や金融界、産業界で最も注目されている銀行は東京三菱銀行でも、「三井住友銀行」でも「みずほ」でもない。発足間もない新生銀行である。その米国流の徹底した合理主義に金融界、産業界は一様に震え上がる一方、一部のマスコミは「日本の金融慣行を抜本的に変革するかもしれない」と持ち上げる。だが、新生銀行の本当の姿を理解している人は少ない。「それはいくら何でもやり過ぎだ。考え直す気はないのか」 新生銀行の取締役でもある今井敬・経団連会長(新日本製鐵会長)は、新生銀行の八城政基社長を呼んでこう説得した。新生銀行は、今年五月に東京地裁に会社更生法の適用を申請して事実上倒産した消費者金融大手のライフ買収に動いていた。 ライフのメーンバンクは新生銀行である。だが新生銀行はライフの支援要請にはいっさい応じなかった。まるで倒産を待っていたかのようにライフ買収に乗り出したのである。今井会長も取締役として、さすがに良心がとがめたに違いない。 ところが八城社長はこの説得に応じなかった。「ライフは債務超過で救済できなかったが、同社が手がけるクレジットカード事業は魅力的なので買収したいだけ。極めて合理的な考え方で、批判されるようなことは何もない」

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