日本重視へ動くアメリカ外交

執筆者:マイケル・グリーン2000年8月号

歴史的な南北朝群首脳会談、そして秋の大統領選など、新たなファクターが、アメリカの「東アジア戦略」を大きく変えつつある。 現在、アメリカでは新たな東アジア戦略の研究が急ピッチで進められている。いずれも、東アジアの安全保障の未来像を見据えてのものだ。 去る六月、国防総省純評価局は「アジア二〇二五」と題する報告書を提出した。各分野の専門家を海軍戦争大学に集めて議論した結果をまとめたもので、かなり極端なシナリオながら、強大な軍事力を擁した中国が西太平洋地域の覇権を握る一方、南北統一がなされた朝鮮半島や日本の基地から米軍が撤退するといった厳しい事態も想定されている。 さらに六月末、国防総省は中国・台湾の軍事バランスに関する年次報告書を議会に提出した。この報告書は、近い将来いつでも起こり得るはずの中国の台湾攻撃の危険性については、さして強調していないが、中国が軍事力を着々と近代化させ、台湾に向けたミサイル配備を進めている点は、はっきりと指摘している。 同省は、四年毎に行われる国防計画の見直し作業にも着手。これは日本の「中期防衛力整備計画」と同じく、防衛力の全体像を点検し、新たな計画を構築するものだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。