沖縄サミット(主要国首脳会議)二日目の二十二日夜、首里城で森首相主催の晩餐会が開かれた。当初は夫人同伴の予定だったが、同行した夫人が少なく、首脳九人だけの宴となった。 過去三回の東京サミットの晩餐会は会場のホテル任せだった。しかし今回は、料理、ワイン、テーブルコーディネーションなど、各分野の第一人者が集められ、これまでとは違う晩餐会の演出に知恵が絞られたのである。 そもそもは昨秋、小渕首相(当時)が、親しい劇団四季代表の浅利慶太氏に晩餐会の演出を頼んだことに始まる。同氏は、劇団取締役で音楽評論家の安倍寧氏に具体化を指示。安倍氏はその幅広い人脈を駆使して、それぞれの分野の第一人者を集めた。料理は辻調理師専門学校理事長の辻芳樹氏、飲物はソムリエの田崎真也氏。メニュー装丁はデザイナーの麹谷宏氏。テーブルコーディネーションは木村ふみさん。給仕、ソムリエの衣装はデザイナーのコシノジュンコさんが製作した。 それだけではない。ナイフ、フォークの銀器類こそ飯倉公館のものを使用したが、ワイングラス、ぐい飲み杯、料理皿、花器などは、この一夜のために特注。そのために人間国宝の十三代今泉今右衛門氏、琉球ガラス製作者で「現代の名工」の稲嶺盛吉氏など、当代屈指の工芸家が多数参画したのである。

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