住銀が進める「債権放棄」後のシュミレーション 住友銀行がついに経営不振の準大手ゼネコン、熊谷組を処理する方針を固めた模様だ。住友銀行では「債権放棄の要請はされていない」(広報部)としているが、秋の中間決算発表前、早ければ八月中にも熊谷組が金融機関への債権放棄要請を含む抜本的な経営再建策を発表するとの見方が強まっている。債権放棄要請額は三千億円を超え、最大で五千億円規模にまで達するとみられる。大手百貨店そごうの要請額六千三百九十億円には及ばないものの、交渉がまとまれば、過去最大の債務免除になることはほぼ間違いない。「新生銀行からの借入れのある債務者について、債権放棄による私的整理という選択肢が全くなくなったわけではないと考えている」「自らの経験に照らせば、法的整理が万能だとは考えていない」――。「そごう倒産の次はゼネコン」と熊谷組の破綻情報が飛び交う七月二十五日、住友銀行の西川善文頭取は全国銀行協会会長として臨んだ記者会見でこう断言した。この発言は「熊谷組は法的整理をせず、債権放棄で救済する」という住友銀行の決意表明と各方面で受け止められた。激怒した西川住銀頭取 熊谷組は新生銀行からの融資約千八百億円を抱えており、そごう、ハザマなどと並ぶ“新生銀銘柄”の不振企業として知られる。このため、そごうが民事再生法の適用を申請した七月十二日以降、信用不安が急速に拡大し、経営危機にさらされていた。

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