青空が見えない日債銀の船出

執筆者:岩井良尚2000年9月号

機関銀行化か内部分裂か――。いずれにしても再生の道は遠い 日本債券信用銀行が九月四日、ソフトバンクとオリックス、東京海上火災保険の三社を中心とする企業連合に譲渡され、営業を始めた。二〇〇一年一月にはその名を「あおぞら銀行」と変える。九八年十二月に特別公的管理(一時国有化)された日債銀は、二年近い時間を経てようやく民間銀行として再出発することになる。 国有化から再生を目指す銀行は新生銀行(旧日本長期信用銀行)に続き二行目。だが、一足先に米リップルウッド・ホールディングスに譲渡された新生銀行はいま、「公的資金を標的にしたハゲタカ」と揶揄され、非難の的になっている。すべては譲渡契約を十分に活用して三兆円余りの公的資金を収益に結びつけた外資特有の抜け目ない経営が招いた誤算だった。 新生銀行の轍を踏まえ、日債銀の本間忠世社長は記者会見で、まず「巨額の国民負担によって再生の道筋をつけていただいたことを重く受け止める」と静かに述べた。新生銀行との違いを強調したのだろうが、続いて「成長性の高い企業、ベンチャー企業向けの融資を伸ばしてゆく」と語った経営方針が、新生銀行とは別の意味で金融界の不安を増幅させている。

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