ミャンマーを舞台に中国とインドの勢力圏拡大をめぐるせめぎ合いが激しさを増している。 アウン・サン・スー・チー女史らの民主化運動を弾圧して世界から孤立したミャンマー軍政に対しては、中国が軍事顧問団の派遣や中国製兵器などの供与により、これまで圧倒的なプレゼンスを確保してきた。 だがミャンマー南岸で最近、中国がレーダー基地の建設などを推進、インド洋に進出する動きを見せたことがきっかけとなり、危機感を強めたインドがミャンマーへ接近。インドは従来、反政府勢力を支援して軍政に圧力をかけてきたが、新たな状況の下で方針を転換、軍政への軍事・経済支援に乗り出したのだ。 今年に入り、インド軍参謀本部の代表団が二回にわたりミャンマーを訪問。ミャンマー軍政が手を焼く国境地帯の反政府勢力の掃討を支援することなどを約束した。この結果、軍政内部に「インド派」を形成することに成功したという。 ミャンマーでは、軍政を掌握するタン・シュエ国家平和発展評議会議長が既に六十七歳。高齢化した指導部の世代交代とともに、中国派、インド派の確執はさらに深まり、地域情勢の不安定要因になりそうだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。