乗組員全員が死亡したロシア潜水艦クルスクの事故原因は、米国本土を標的としたロシア海軍の新型ミサイル発射実験と関係があるという説が浮上してきた。 ワシントンの軍事専門家は、「ロシアが米国の国家ミサイル防衛(NMD)開発に対抗する新型特殊ミサイルの実験時に事故にあった可能性が高い」と分析する。この専門家は、北方艦隊所属のクルスクは太平洋艦隊と黒海艦隊まで参加した合同訓練中に事故にあったとみて、ロシア海軍は訓練前から、米国を牽制する情報を意図的に流していたため、米国などがロシアより先に潜水艦沈没を確認できたと指摘する。 もともとロシア海軍は、洋上、海中からの核ミサイル攻撃を重点テーマとして研究してきたといわれる。旧ソ連も含めたロシアの指導者として初めて原潜に乗艦したプーチン大統領も、海からの核先制攻撃こそNMDへの対抗手段と考えているようで、海軍力強化に積極的だった。 クリントン大統領は九月一日、NMD開発を次期政権に委ねると発表したが、米紙によれば、この決定にはプーチン大統領の強力な反発が影響したという。ただし、原潜沈没との関連までは不明だ。

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