仏のジョスパン内閣が崩壊の危機にさらされている。三年前の発足以来、好景気にも支えられて順風満帆とみられていたが、ここへきて首相の孤立無援ぶりが際立ってきた。 八月末にはコルシカ島の自治権拡大を頭越しに決められたシュベヌマン内相が突然辞任を表明。週三十五時間労働制など目玉政策の陣頭指揮をとってきたオブリ雇用相が地元リール市の市長選出馬を理由に辞職を表明し、ギグー法相も同様の理由で辞任するとみられている。 今春にはソテール蔵相、アレーグル教育相が内政混乱で退任に追い込まれ、昨秋にさかのぼればストロスカーン蔵相も資金疑惑で更迭されている。発足当初の有力閣僚はあらかた姿を消した格好で、残るのはファビウス蔵相やラング教育相など反ジョスパン派の閣僚ばかり。 さらにここへきて新たな難問が浮上した。仏全土で燃料価格上昇に対する抗議行動が勃発。ガソリンスタンドや交通網がほぼマヒ状態だ。混乱収拾に失敗すれば運輸相などの辞任劇に発展しかねない情勢で、すでにボワネ環境相は辞任を示唆している。二〇〇二年の大統領選に向けた足場固めどころか、ジョスパン批判の包囲網が出来上がりつつある。

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