アジアを主戦場に、攻めてくる欧州の巨大鉄鋼メーカーと鎬を削る 新日本製鐵は八月二日、世界最大の鉄鋼メーカーである韓国・浦項総合製鉄との戦略提携を発表した。すでに一九九八年から株式の一部を持ち合っている両社は、持ち合いを拡大していくとともに、海外での合弁事業など本格的な協力関係の構築を目指す。 新日鉄と浦項製鉄が開いた共同記者会見によると、両社は(1)基礎的技術開発、(2)日本と韓国以外の第三国での合弁事業、(3)情報技術(IT)――の三分野などで協力していく。双方の経営幹部で構成する推進委員会を設置し、具体的な協力内容を詰めていくが、新日鉄の千速晃社長と浦項製鉄の劉常夫会長のトップ会談では、新素材や製造プロセスの共同開発や、鋼材など製品の電子商取引での協力、さらに生産面や資材調達、物流までに及ぶ広範な協調関係を模索することが固まっているという。 六八年に韓国の国策会社としてスタートした浦項製鉄は、新日鉄から技術面で全面的な支援を受けた。その後、韓国唯一の高炉メーカーとして成長を続け、九九年の粗鋼生産量は約二千六百五十万トンを記録。新日鉄の年産二千四百三十万トンを上回る規模となっている。業績も二〇〇〇年六月中間期では売上高が五兆八千億ウォン(五千八百億円)、純利益は一兆三千億ウォン(千三百億円)を計上。浦項製鉄は今や、かつての「師匠」である新日鉄をしのぐ企業となり、両社は海を挟む、強力なライバルとなった。

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