「私はそれでも、もう一度、21世紀の始まりに際して、一人ひとりの日本人に、(プライドという=筆者)この言葉を問いかけてみたいと思いました。 組織人ではなく組織内『個人』のあなたに。会社人間ではなく会社内『個人』のあなたに」(藤原和博『プライド―処世術2』新潮社刊 一三〇〇円) 本誌読者はすでにお馴染みのリクルート社フェロー、藤原和博氏の本。本誌で連載されていた「冗談ではないのだ」も収録されている。「21世紀型サラリーマンのバイブル」とも称された前著『処生術』同様、本書にも、仕事と人生を振り返って考えさせるネタが沢山含まれている。例えば、「逃げる」「避ける」「断る」「減らす」「止める」を説いたくだり。付き合いや慣性でやっていたことから「逃げる」、何となくの人間関係は「避ける」、出来ないことははっきり「断る」、本当に好きでやっていること以外は「減らす」、あれもきこれもと欲しがることを「止める」。それだけで、ずいぶんと自分の時間を確保出来るという。「それが出来りゃあ苦労しないよ」と言うなかれ。藤原氏がすごいのは「有言実行」のところだ。前著『処生術』では、自分がセッティングした場であろうと宴たけなわであろうと、十時になったら帰ってしまう「早引けの術」や、接待ゴルフを止めた話などが披露されていたが、それによって仕事に支障が出たことは無いという。語りに説得力があるのは、そうした自らの体験に基づいているからだろう。

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