十月初めの米朝高官協議を受け、「よど号」乗っ取り犯の北朝鮮からの帰国が現実味を帯びてきた。米国側は、四人の容疑者の国外追放が実現すればテロ国家指定解除も可能と表明したとされる。 北朝鮮としては南北の和解が進む中で、国際社会からの支援を確固たるものにするためにも米国との関係改善は必須だ。「もはやよど号グループは北朝鮮にとって使い道はなく、最後のご奉公に日本へと戻される可能性は高い。日本で実刑となっても七、八年で出所は可能」との声も専門家からは聞かれる。その際、彼らがヨーロッパで拉致したとされる日本人を一緒に帰国させる可能性もある。よど号グループに拉致問題を押し付けることで、日朝間の懸案を一挙に解決しようというのである。だが、他にも日本国内で拉致された疑いの強い日本人が判っているだけで数名はおり、それで拉致問題が解決にならないのは言うまでもない。 先頃、日本政府は北朝鮮に対し、国連世界食糧計画(WFP)から要請のあった十九万五千トンを上回る五十万トンのコメ支援を決めた。その背景には、「よど号」容疑者に加え拉致された一部の人の帰国問題があるのでは、との見方も出ている。

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