上院に一歩近づいたヒラリー

執筆者:アレクシス・シメンディンガー2000年10月号

あとは、民主党の支持者をきちんと動員できるかが鍵[ワシントン発]十一月七日投票の米上院議員選挙まで、残り三週間を切った。最新の世論調査によれば、注目のニューヨーク州選挙区で、大統領夫人ヒラリー・ローダム・クリントンと同州選出の共和党下院議員リック・ラズィオは依然、紙一重の接戦を続けている。だが、政治アナリストの間では、選挙戦終盤で支持率が上がってきていることから、最終的にはヒラリーがこの接戦を制する可能性が出てきた、との見方が有力になりつつある。 ただし、そのためには、ヒラリーはまず足元の民主党支持者の票をがっちりと固めなければならない。同日に投票の行なわれる大統領選挙では、アル・ゴア副大統領とジョゼフ・リーバーマン上院議員(隣のコネチカット州選出)の民主党コンビが、ニューヨーク州で圧倒的な強さを誇っている。この追い風をヒラリーがどこまで活かしきるかが鍵となるだろう。「彼女は、有権者の間にかなり食い込んだ」と、ニューヨーク市立大学バルーク校教授で「バルーク・ハリス調査機関」の責任者も務めるダグラス・ムッズィオは言う。「少人数の集会で直接、彼女に会った有権者たちは、ヒラリーに角が生えてるわけじゃないことに気づいたんだ。そして、彼女こそ自分たちの抱える問題を理解してくれる人間だと、見方が変わった。知名度だけが先行していた一年前とは違って、有権者の間にヒラリーの人間像が定着したんですよ」。

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