中国が狙う東シナ海の海底資源

執筆者:照屋健吉2000年10月号

沖縄近海での中国海洋調査船の出没の背景には、明らかに東シナ海に眠る海底資源への野心がある。気がかりは、英米系メジャーが中国に接近していることだ。このままでは日本は孤立化するばかりだ。 七月二十一日から二十三日まで沖縄県名護市で開かれたサミット(主要国首脳会議)に国民の目が注がれていた頃、沖縄本島から西四百三十キロの尖閣諸島の近辺では、中国の海洋調査船と日本の海上保安庁の巡視船が睨み合っていた。七月二十一日夕刻、尖閣諸島魚釣島の南約五十キロの地点で、中国の海洋調査船が船尾にワイヤー三本を曳航しながら時速五ノットのスピードで台湾方向へ向かって航行するのが発見されたのだ。海上保安庁の航空機と巡視船が調査の中止を呼びかけたが、中国船からは何の応答もなく、調査は続行された。また、この直前の七月十六日から二十七日にかけては、長崎県男女群島南西海域で別の中国海洋調査船が活動しているのも発見されている。海洋調査は五年前から 中国の海洋調査船が日本の「排他的経済水域」(EEZ)内に侵入して、尖閣諸島などの沖縄近海に出没する事態は決して珍しいことではない。今回はサミットの最中だったので注目されたが、実はこの五年ほどずっと続いてきたことなのである。外交問題としてようやく日中の表舞台で取り上げられるようになったが、中国側が調査活動を止める様子は一向にない。

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