二〇〇二年春の完成をめざして、現在の首相官邸の西隣に建設中の新首相官邸に自衛隊の医師である医官が二十四時間体制で詰める見通しになった。現在の官邸には医務室がなく、常勤医もいない。首相の健康管理は最高機密とされ、仮に常勤医がいても気軽に診察を受けることはないとみられていたためだ。しかし、故小渕恵三前首相が公邸で、早い処置が必要な脳梗塞で倒れ、大学病院で亡くなったことから、緊急医療が施せる常勤医の必要性が浮上した。 新しい官邸・公邸には医務室が設けられ、東京都世田谷区の自衛隊中央病院から交代で医師が派遣される見通し。看護婦も自衛隊から送り込まれるという。自衛隊中央病院には政財界や芸能界の有名人がお忍びで訪れることもあり、幹部は「秘密保持が仕事のひとつ。首相にも必ず信頼してもらえる」という。 防衛庁は以前から官邸への秘書官派遣を希望していたが、外務、大蔵、通産、警察の各省庁が既得権として手放さず、防衛庁は蚊帳の外に置かれていた。派遣される医官はふだんは白衣姿でも階級を持つ自衛官。首相が海外出張する際には制服姿で同行するとみられる。幹部は「これをきっかけに、官邸への人材派遣を広げたい」と話している。

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