二〇〇二年には政管健保が資金ショート必至なので…… 十一月一日、自民、公明、保守の与党三党は、衆院厚生委員会で、高齢者の医療費負担に定率制を盛り込んだ健康保険法等改正案を、野党の反対を押し切って強行採決、賛成多数で可決した。改正案は、翌日の衆院本会議でも可決、参院に送られ、会期中に成立することは確実だ。 しかし、この制度が来年一月にスタートしても、増大する老人医療費のため、医療保険制度は二〇〇二年度には財政がパンクする。要するに、サラリーマンの保険料に頼る現行制度はもはや限界ということだが、厚生省は「公費で穴埋めをしたくても、財源はどこにもない」と、相変わらずの無策ぶり。大蔵省は、このところ社会保障財源の充実には増税が不可欠とのトーンをことあるごとに強調しており、今や医療保険の破綻が消費税引き上げの大義名分にされる可能性が高まっている。膨張を続ける老人医療費 七十歳以上の老人医療費は、二〇〇〇年度の国家予算ベースで年間十兆一千億円。国民医療費全体の約三五%を占める。しかも、ここ十数年の間、年率六―一〇%のペースで増えてきた。老齢人口の伸び率は年率四%程度なので、高齢者一人当たりが使う医療費が、毎年二倍近く伸びている計算になる。

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