4.2時間

執筆者:伊藤洋一2000年11月号

 ネット株ブームが去ったアメリカでは、国民のネット使用時間、利用者の割合にも「落ち着き」から「頭打ち」の気配が急速に見られる。 コンサルタント会社PwCの最新調査によると、米国のインターネット・ユーザーの一週間当たり使用時間は四・二時間と、一年前の五・三時間から一時間以上も減少した。PwCはアメリカ以外にイギリス、ドイツ、フランスの欧州三カ国、オーストラリアなどを調査しているが、うち欧州のユーザーの一週間当たり使用時間は一年前の二・四時間から三・二時間に増加している。アメリカの結果はこれと対照的。日本での調査結果はないが、おそらく欧州の傾向と同じだろう。 もう一つ注目すべきは、アメリカでのインターネット・ユーザーの割合が頭打ち傾向になったことである。同国国民に占めるインターネット・ユーザーの割合は、今年の調査では四四%だったが、これは九九年の四三%からごくわずかに増加しただけ。 アメリカのネット利用が到達点なのか、それとも踊り場なのかは不明だ。しかし、代表的ハイテク企業であるシスコ・システムズでさえ、従業員間のメール使用の抑制と、顔をつき合わせた打ち合わせを推奨するに至っている。不完全な意思疎通によるトラブルなど、メールの弊害が深刻化しているためだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。