タカ派駐米大使が次期中国外相か

執筆者:2000年12月号

 中国の李肇星・駐米大使が近く任期を終えて帰国、後任に外務次官(南北米州担当)の楊潔チ氏が就任する。 李氏は外交部副部長から駐米大使になったが、典型的なタカ派的言動が多く、ワシントン外交界での評判はいまイチ。とくに二〇〇〇年初め、下院が圧倒的多数で「台湾安全保障強化法案」を通過させた際、同法案上程に尽力した議会の長老、ジェシー・ヘルムズ上院外交委員長(共和党)に激しくかみつき、外交界では眉をひそめる向きが多かった。また、九九年五月の在ベオグラード中国大使館誤爆事件に際しては、CNNテレビ「ラリー・キング・ショー」に黒シャツに銀のネクタイ姿で生出演して、違和感を振りまくなど、話題に事欠かなかった外交官だ。 李氏の新たな職務は外交部党委員会書記。外交部内にある共産党組織のトップとなる。このポストはかつて唐家セン外相が次官時代に務めていることから、中国外交部内では早くも次期外相の呼び声も出ている模様。李氏の大使就任期間中の米中関係は、まずまずの状態に復活したものの、外相に昇進するかどうかは、本人の風格を含めて江沢民氏ら最高幹部のメガネにかなうかどうかにかかっている。

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