看板倒れに終わる財投改革

執筆者:2000年12月号

財投債という「詐術」を使う特殊法人が続出「第二の予算」と呼ばれながら、その実態はブラックボックスだった財政投融資制度。ようやく改革法案が可決されたことで、二〇〇一年度から郵便貯金や年金の自主運用が開始され、大蔵省資金運用部への預託は廃止となる。 これまで財投で資金を確保してきた特殊法人は、原則として債券を発行して市場から資金を自主調達する。財投資金を湯水のように使い、赤字を垂れ流してきた特殊法人も今後は、投資家の洗礼を受けることで、業務の効率化が進むとの期待もある。 だが、残念ながら実態は、これまでと大きく変わりそうにない。特殊法人が発行する債券には、それぞれの法人が独自に発行する「財投機関債」と、特殊法人一律の「財投債」の二種類が予定されているが、本当に「市場の洗礼」に晒されるのは財投機関債の方だけ。これに耐えられる特殊法人は極めて限られているから、財投機関債の発行予定額はわずか一兆円弱に止まっている。そして、機関債を発行できない特殊法人は、財投債で確保した資金を回して貰って、市場の洗礼が届かない場所に止まり続けるのだ。機関債の発行予定額一兆円に対し、財投債は実に二十兆円強。これを郵貯や年金基金が買い上げていくという基本的な構図は以前となんら変わりがない。財投「改革」は、看板倒れに終わりそうな気配が濃厚である。

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