YES 70% 二〇〇一年四月に「三井住友銀行」が誕生する時点で、二つの旧財閥の融合は半ば達成されたと考えるべきだ。金融資本こそが財閥形態の企業集団を支えるバックボーンである。二つの銀行の合併は、生き残りを模索する系列各社の経営者たちにすでに新たな方向性を与えつつある。 三和系の日本火災海上保険、興亜火災海上保険との統合を一度は発表した三井海上火災保険が、今年二月にその三社統合を白紙撤回し、一転して住友海上火災保険との合併を決めたのは、まさに三井住友路線への軌道修正。昨年十月、さくら=住友合併の第一報を聞いた三井海上の首脳が、「(合併相手は)三和じゃないの」と思わず口走ったという逸話は、三井系企業の経営者心理を如実に表している。 中央信託と三井信託の合併によって今年四月に発足した中央三井信託銀行でも、さくら=住友ショックの余波で発足直前まで“破談”のウワサが絶えなかった。「合併相手を住友信託に変更」といった憶測が三井信託内部に広がり、兜町界隈では「明日、合併断念発表」といった類の怪情報が何度も流れた。新銀行発足後も旧中央・旧三井勢の角逐は収まらず、「住友信託の合流」は今でも金融アナリストたちの間でしきりに喧伝されている。

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